新規就農を目指す、もしくは受け入れる前に知っておいてほしいこと

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新規就農に向いていない人の特徴を3つ

以前に新規就農しようとは思ったものの、現在は足踏み状態で受託という形で農業に関わっていることを書きました。
と、いうのも会社員時代に農業研修を1年間行い、現場でも研修生を受け入れてきたと両方の経験から思うのは、共通して“失敗しやすい”タイプっていうものがあります。自分自身の戒めの意味も含めて今回は新規就農に向いていない人の特徴を3つ紹介します。
新規就農を目指す方もですが、受け入れる方も、こういう人材が来たら注意したほうがいいかもしれません。


① 地縁・人脈ゼロのまま、その地に飛び込んだ人

全くの移住者が農業を始めること自体は、決して悪いことではありません。実際、地域に溶け込んでうまくやっている人もたくさんいます。

ただし、私が担当した実習生の中には、

  • その地に初めて来た
  • 知り合いはゼロ
  • とりあえず普及センターに相談して就農

という流れで農業を始めた人がいました。そしてだいたい離農します

その地域が割と住みやすいので、新規就農もなんとかなるだろうという判断だったと思うのですが、とりあえず引っ越してから作物選定することはやめたほうがいいと思います。まず引っ越そうとしている土地で何が有名な作物なのかを調査して、まずはその地域で有名な作物で就農したほうがいいと思います。
理由は、産地化してない作物を選んでしまうと、周りに仲間がいないため孤立してモチベーションがどんどん下がってしまう傾向になるように感じます。


② 技術さえ身につけば何とかなると思っている人

研修中、「技術をマスターすれば就農後は何とかなる」と考える人が少なくありません。

しかし、これは非常に危険です。

農業の現場では、「技術がある」=「収穫できる」ではありません
農業研修は技術を学ぶ場でもあるんですが、1年を通して本当に農業で食べて行けるかを実証する場でもあります。
農業研修はきついとは思いますが、「農業はきつすぎる」と思えばそこで就農をあきらめて引き返せる最後の手段でもあります。

私が過去に実習に来た例で言うと、体調が悪ければすぐに「休ませてください」という例が結構ありました。
それは研修ではそれが言えても、就農すればそこを休むのは自己責任。自分の段取りで休むならばいいですが、突発で休んでばかりだと場合によっては収入に大きく影響する可能性もあります。
よく、「農業は自分のペースでできる」ということも聞くのですが、その意味をはき違えている人はだいたい就農を失敗している傾向にあるような気がします。


③ 夢ばかり語り、現実を直視しない人

「将来的には珍しい作物に挑戦したい」
「無農薬・有機栽培で海外輸出も視野に入れている」

このように夢や理想を語る人は多いです。向上心や独自性は素晴らしいのですが、それが現実離れしていると危険です。

一番ひどい例で言うと、就農後に大した管理もせず周りは草でボーボー。ひどい状態。
なのに、「除草剤を使うと海外の輸出ができなくなるので使いたくない。」

うん、なら草でボーボーなのに何もしない?
と、いうかそもそもなぜ草が生えてきた時点ですぐ取らない?

結局、その方は就農後に海外の輸出どころか、国内の販売もろくにできずに離農しました。
夢を語るのはいいですが、栽培管理ができるようになってから検討するようにしてください。

まとめ|成功には「就農後の自分の姿が想像できるか」が必要

新規就農は、やりがいがあり、魅力的な選択肢のひとつです。しかし、夢だけで走り出すと、想像以上に厳しい現実に押しつぶされてしまうこともあります。

しかも就農にはお金がかかります。年々資材の値段も上がっているなかで、借金して就農に失敗すると、受け入れた側もメンタルがやられます。

と、いうわけで私も将来的には新規就農をしたいとは思っているものの、失敗事例を見ているだけに慎重に考えないといけないなあと思っています。

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